経済大国といえば、まずアメリカがトップでその次に中国と続きます。とくにアジア進出の足掛かりとして中国に進出する企業も多いでしょう。中国の経済規模や経済成長についてまとめました。

中国の経済規模

中国の2017年の名目GDPは12.25兆ドル。これは世界で2番目の大きさです。2010年に日本を抜いて世界2位になってからもその勢いは続き、2040年までにはアメリカ合衆国を追い抜くという予測もされています。

また世界銀行の2019年の発表では、中国の1人当たりの名目GDPは約9,608USドルとなりました。これは世界で72位となります。

参考:グローバルノート-国際統計・国別統計専門サイト

世界銀行の2015年の基準では、1人当たりのGDPが1,045ドル以下は低所得国で1,045−4,125ドルの間は中の低の所得国、4,126−1万2,735ドルの間になると中の高の所得国、そして1万2,736ドル以上は高所得国とされています。

先進国であれば、1人当たりGDPは4~5万ドル以上にもなり、中国とは大きなひらきがあります。中国は中の高の所得国としてこれからの伸びしろを期待されるとともに、中所得国の罠を超える重要な時期であることがわかります。

1人当たりのGDPが増大することは、中国経済にとっても大きな意味を持っています。中国はこの20年で物価水準が急上昇して、インフラ整備も急速に整いました。大都市と地方都市の差を指摘する声もありますが、地方都市に関しても底上げがなされています。

日本の1人当たりのGDPは横ばいが続いていますが、中国の1人当たりのGDPは2000年ごろから安定して右肩上がりをしています。中国は経済発展とともに消費力が強化されていることも重要なポイントでしょう。消費の経済成長への寄与度が高まり、強い内需を持つことは安定した国内市場を形成するために必要になります。

中国が直面する中所得国の罠

中所得国の罠とはこれまで、多くの経済成長を続ける国が直面してきた課題です。途上国が経済発展により1人当たりGDPが中所得に達した後に、発展パターンを転向することができずに成長が鈍化もしくは低迷していく状態を指します。

歴史的に見ると中所得の罠を超えて先進国となる国と、中所得国の罠に陥って成長が低迷する国に大きく分けられます。中所得国の罠を超えて安定成長を遂げた国としては日本や韓国、シンガポールなどが挙げられます。一方で中所得国の罠に陥った例としてはアルゼンチンやブラジル、メキシコなどが代表的です。

高度成長を続けた国と中所得国の罠に陥った国とでは高度成長を遂げた後の成長率に違いがあります。安定成長を続ける国でも高度成長を遂げた後に成長率の落ち込みがあります。しかし、その落ち込みが半分以上にとどまり、その後、最後に右肩上がりの成長を見せています。一方で、中所得国の罠に陥った国は半分以上の落ち込みを見せた後、回復することができずに低迷しています。

アジア開発銀行の研究では中所得国の罠に陥った国を分析して、輸出製品が一次産品や労働集約的といったものにとどまり、多様化・高度化しない「製品の罠」に陥ると中所得国の罠に陥ると指摘しています。

中所得国の罠に陥った南米では、地主に土地が集積して国民に貧富の差が生まれたことが大きな社会問題となりました。治安の悪化やトラブルの頻発なども課題と指摘されています。

中所得国の罠の意味は厳密に定義されているわけではありません。しかし、多くの国が直面することから国の成長戦略のあり方を問うものとして共有されてきた概念です。中国の成長減速を目の当たりにして中所得国の罠への対処が課題となっています。

中所得国の罠を抜け出すために必要なこと

中所得国の罠を抜け出すために必要なこと
中所得国の罠に陥る国の多くは、政治・経済に不安要素が潜んでいます。また、外部環境から大きな影響を受けているパターンも多いでしょう。

高度成長を進めるためには国力をつけるために産業を高度化、多様化することが必要です。その国の生産資源をそのまま輸出するのではなく、有効活用して技術進歩の役割を高めることで、より効率的な投資も可能になります。

そのためには技術革新を担う高度な人材が必要になるでしょう。生産資源を有効に使うためにも高度な教育を受けた人材の育成が急がれます。

教育施設の充実や都市化を推進することによって中間層が形成されていきます。国が効率的に発展することで、企業や個人にお金が回るようになれば安定した中間層が生まれます。こうしたサイクルを回すためにも安定した消費が欠かせません。

まとめ

中国はイノベーションを他国から輸入する時期から自国で生み出す時期に来ています。国としても2050年までに世界を主導する大国になるというビジョンを提示しました。教育水準の高い知識労働者が増え、サービス産業主導の生産性向上を維持することで、この野望も実現に大きく近づくでしょう。日本の企業にとっても規模が大きなビジネスをおこなうチャンスになるでしょう。

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