日本企業の海外進出は成功ばかりではない

日本企業の海外進出は徐々に増えてきており、大企業から中小企業まで、そして製造業からサービス業まで幅広い規模や業種へと広がっています。日本の輸出額はリーマン・ショック後に落ち込みを見せましたが、概ね回復傾向にあり、海外市場に対する日本企業の参入期待も拡大傾向と言えます。

ところが、日本企業の海外進出はあまり成功率が高いとはいえない状態です。特に近年、アジアやASEAN諸国でも人件費の高騰によって安価な労働力が手に入りにくくなっています。

また、サービス販売では、現地の嗜好や文化との相違によってシェア獲得に苦戦を強いられることもあるのです。海外進出を果たしたとしても、現地や他国の情勢などによっては撤退や縮小に追い込まれるケースもあります。

これらを認識した上で計画を進めていくことが必要です。

日本企業の海外進出の成功率

日本企業の海外進出の成功率は、平均としては30~40%程度と予想できます。日本貿易振興機構(ジェトロ)での調査「2018年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」では、海外事業について「さらに拡大を図る」と答えた企業は32.9%という結果でした。

また、2017年以降の保護貿易主義が自社のビジネスに与えた影響について、調査時点で「影響はない」と回答した企業は43.1%。このデータから考えると、海外進出した企業のうち32.9%は成功の目を見て、さらなる事業拡大を目指せたのだと推測できます。

成功とまではいかなかったとしても、少なくとも事業を存続し、拡大まで検討できる余裕はあるということでしょう。

直接投資以外にも成功率アップの兆し


海外進出では、海外に自社の拠点を置く直接投資を考えがちですが、それ以外の方法で成功を収めたパターンもあります。輸入や海外向けのEC販売など、日本にいながら海外の市場を目指す方法も検討の余地がありそうです。

調査によると、海外向け販売でECを利用したことのある企業は52.8%にのぼり、そのうち、海外事業が「現状黒字である」と回答した企業は28.7%でした。このように、日本にいながら海外を目指すことは、リスクを最小限に抑えて海外市場を活用できる方法です。

ノウハウさえあれば、資金の足りない企業でも参入の余地があります。

参考サイト
日本貿易振興機構(ジェトロ)「2018年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査

海外進出の成功率向上を阻むもの

日本の海外進出の成功率は、見方によってはあまり高いと言えないかも知れません。そこで、日本の海外進出がなぜうまく行かないのかを考え、対策のヒントを探ってみましょう。

まず考えられることは、日本企業のプライドや自社商品への自信、また、異文化への対応の問題があります。日本でのやり方や商品の在り方に固執してしまい、ローカライズできずに失敗するケースです。

また、現地の文化や習慣を理解せずに現地採用の労働者に日本のやり方を押し付けたり、交渉時に慎重になりすぎたりする場合もあります。また、海外進出担当者を国内事業と兼任させることにも落とし穴があります。

専任で行えば担当者の負担も減りスピード対応も可能になります。国内事業と海外事業の板挟みにならずに重要事項を決定でき、思い切った決断もできます。

こうすることで、成功する確率は高まるのです。担当者を採用する際には、異文化適応能力のある人を選ぶことが大切です。

国内で成功を収めた人や営業トップの人を据えても良いですが、その人に異文化適応能力があるかどうかは別問題です。担当者には、日本と異なる言語や文化、習慣を持つ社員とともに働き、現地の人に合わせた商品やサービスを提供する力が求められます。

こうした異文化適応できる真にグローバルな人材は限られているため、人材確保が困難となった場合には海外進出専門のコンサルタントやプラットフォーム事業などを頼ることも必要となります。また、現地パートナーの問題もあります。

よいパートナー企業に出会うことができずに失敗することもあるため、パートナー選びも重要です。こうした点も海外進出の専門家に相談した方が良いでしょう。

まとめ

日本企業の海外進出は増えていますが、成功ばかりではありません。まだまだ多くの課題が残されているため、問題点を明らかにし、改善する必要があります。

成功率の高いビジネスモデルなども参考にしながら、海外進出を目指す企業は一歩ずつ問題を解決しながら事業を進めていきましょう。

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hawaiiwater

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