海外進出を考える際に大切なのは、タイミングを見極めることです。国内市場の動向はもとより、自社のフェーズに合わせた適切なタイミングで進出することで成功を収められるでしょう。

今、海外進出のタイミングか

海外進出を検討する企業は、自身の事業のフェーズや関連する市場、消費動向などによってタイミングを計ることが大切です。1990年代以降、日本国内では海外進出を進める企業が増え続け、近年では、多くの数の中小企業・ベンチャー企業も海外進出を進めています。

一方、海外を見ると、日本人・日本企業の進出先として人気があった中国をはじめとしたアジア諸国では人件費の高騰が起こる国も増えています。さらに、日本以外の国からのビジネス参入によりシェアを奪われることも起こっています。今後も、各国のマーケットや経済は変化を続けるでしょう。

そのため、適切なタイミングと適切なエリアを見極めて、リスクを減らした状態で海外進出を行う必要があります。世界経済・進出先の政治・経済・社会情勢などの外的要素に加えて、自社や事業の成熟度・人員・組織の充実などの内部要素もあわせてタイミングをみていきます。

海外進出のタイミングを外すと

海外進出では、適切なタイミングを外すと莫大な資金を投資したにも関わらず、十分な目的達成も果たせないままに撤退を余儀なくされる恐れがあります。また、そのことで経営状況を悪化させ、事業を傾かせる可能性さえあるものです。

とくに、はじめての海外進出を目指すベンチャーやスタートアップ企業、中小企業では、自己資金だけでは間に合わないことも多いため、融資を受けることも多くなります。しかし、その資金回収の計画がとん挫をしたまま撤退することになれば、返済計画にも狂いが出てしまいます。

進出に向いている地域を見つけたとしても、現地が政治的不安を抱えたタイミングでの計画の進行はできません。安全性と安定性を重視し、多少有利な市場であっても危険のあるエリアは避けるのが賢明な判断です。

いったん適切なタイミングで進出を果たした場合でも、変化する世界や現地の状況を常に監視し、素早い決断と柔軟な対応を続けていく必要があります。

海外進出のタイミングは資金準備で決める


海外進出のタイミングは、資金を確保できたタイミングに合わせることも大切です。

海外進出には多額の費用がかかります。また、ビジネスが軌道に乗り、目標としていた資金回収と売上拡大を達成するまでにも時間がかかるため、それまで耐えうる資金的体力が必要です。

海外進出のためには、準備期間も必要です。必要なスタッフをそろえ、計画を立てて調査や手続きを行います。また、現地調査として海外出張を行う必要があります。製造であれば、現地に工場を建設するための土地や建設費も必要です。

それらの費用は、融資や補助金などを利用して調達することも可能となります。その場合には低金利などの優遇も期待できますが、利用にあたって企業規模や使用目的などが問われることがあります。

そのため融資や補助金の利用を考えている場合には、利用できるタイミングも計ることが必要です。海外進出のための制度は、計画が進んでからの場合、国内の運転資金と区別がつきにくいため、スタート時に申請するとよいようです。

海外進出のタイミングは人材で決める

海外進出を果たすタイミングは、人員の充実度で決定することも大切です。グローバルな視点を持った人材の投入が海外進出成功には欠かせません。

必要なのは、現地の状況を把握したうえで、自社のサービスや商品をローカライズし、地元の人をターゲットとして競合他社と戦える戦略を持つ人材です。異文化や異なる言語や習慣にも適応し、現地の人を活用し、現地の人と渡り合えるコミュニケーション能力を持っていることも大切になります。

人材の獲得や育成は一朝一夕ではできません。育成プログラムやメンターと出会えるプラットフォームなども活用し、人材育成に取り組みましょう。それまで待てないという企業は、国内外のアウトソーシングを利用して人材の確保にあたるのがよいでしょう。

海外進出のタイミングは経営者の判断が重要


海外進出には、覚悟と熱意が必要です。とりわけリーダーの強い意志と覚悟、それに基づいて起こすアクションが海外進出の計画を推進します。海外進出の準備や実施においては、数々のシーン、フェーズで重い決断を強いられることがあります。

そのタイミングでトップが冷静かつ大胆な答えを出さなければ、計画が止まってしまうこともあります。海外の国々では、契約のスピードが日本では考えられないほど速い国もありますし、そのタイミングに乗れずにチャンスを逃す日本企業も多いものです。

海外進出のタイミングは現地の状況で決める

日本で自社側の体制がすべて整っていても、現地側の市場やパートナーが海外企業の参入に対して準備が出来ていない場合は、再検討が必要です。

経済状況、政情不安、制度改革やパートナー企業の状況次第では、業界や目的によっては、現地への参入が最適なタイミングでない場合もあります。

まとめ

以上のように、日本で自社の体制が整うタイミングと、進出先現地の事業環境が整うタイミングを事前に見極め、それに向けて周到に用意を進めたうえで、時期が到来した際に機会を逃さず海外進出を進められるようにすることが重要です。

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hawaiiwater

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