海外法人を立ち上げる場合、日本と同様に手続きが必要になります。その国によって法人を立ち上げる手続きが違ってくるため、海外進出コーディネーターや現地の専門家に依頼することが多くなります。海外で会社を設立するメリットやその方法についてまとめました。

海外で会社を立ち上げるメリット

会社を設立した人の中には海外進出なんて考えたこともないという方も多いかもしれません。しかし、国内は少子高齢化と言われて久しく、人口減少とともに国内市場の縮小が進んでいます。海外で会社を設立することで、日本よりも広い市場で事業展開ができます。

現地法人方式は現地に子会社を作る方法です。そのため社内規定や定款なども新しく作成することになります。一見、面倒に感じるかもしれませんが、新規事業を開拓する場合などは事業に合わせた規定を作成できます。また、賃金についても本社とは別に新しく定めることになるため、労働力が安価な国の場合は人件費を削減することもできるのです。

海外で会社を設立するには、事業内容や目的にあった設立方法を選ぶ必要があります。今回はアメリカを例にとって現地法人を設立する方法を紹介します。

現地法人の設立方法

現地法人の設立方法
現地法人を立ち上げる場合、定款や社内規則を作成します。アメリカの場合であれば作成した定款に発起人が署名、登録税や手数料とともに州務長官に提出します。その後、州当局による会社設立許可証が交付される仕組みです。

海外法人を作る国によって設立できる会社の種類は違います。アメリカの場合であれば、株式会社のほか、支店や駐在員事務所また有限会社も設立可能です。また、二つ以上の会社が共同して事業をおこなう共同事業体も認められます。また、アメリカでは会社登記は全て州管轄となりますが、営業許可さえあれば他の地域で営業することもできます。よって、営業を予定する地域ではなく、会社にとって有利な会社法の州を選んで実際の事業は他州でおこなうケースが多く見られます。

具体的にはデラウェア州やネバダ州で会社を設立して他州に支店を設けるケースがよく見られます。会社設立と維持コストが安い、法人税が優遇されるなど州によって政策的に違いがあるため、恩恵を受けられる州に設立することも検討するといいでしょう。

支店の場合、アメリカでは州が規定する書類と登記料、手数料を添えて申請します。すると外国法人として州政府に登記されます。設立州以外で事業活動をおこなう場合は、その州の外国法人として登記することになります。

事業活動をおこなわない駐在員事務所という事業体は登記上認識されていません。そのため州政府への登記も不要です。ただし、駐在員事務所は情報収集や日本本社の補助など限定した活動しか行えないため、事業をおこなうためには現地法人や支店とすることになります。

現地法人の解散方法

現地法人が設立したとしても、いずれはその国から撤退する可能性もあります。その場合はどのように現地法人を畳むのでしょうか。アメリカの場合は会社登記が州の管轄になります。そのため会社の解散も州政府に報告するだけで完了します。

ただし、会社を清算するには一般的に清算計画書を作成して取締役会で解散決議をおこないます。また、株主や債権者に通知したり、従業員の解雇やリース機器を解約したりという手続きも必要です。

最終の納税には時間がかかります。そのため解散決議から実際に解散するまで2~3カ月かかるのが一般的と言われています。国によっても異なり、ベトナムなど最低でも1~2年かかるケースもあります。実務面では労務関係の処理、不動産(土地使用権)の処分などがあるため、手続きが完了するまでにある程度時間がかかることを留意しておきましょう。

M&Aで海外進出する方法も

海外進出には海外法人を立ち上げる方法だけでなく、既存の企業に資本参加したり買収したりする方法もあります。現地企業をM&Aすれば既に販路や人材といった事業の基盤になるものが用意された状態になります。

現地法人を新しく設立する場合に比べて、事業の立ち上げまでの事務処理や費用、時間が圧倒的に削減されます。また、既存の販路があるため事業計画を立てやすいという点も大きなメリットです。ただし、M&Aは相手先企業の選定が要となります。表面化していないリスクや問題がある場合は、想わぬ損害を被ってしまう可能性もあるので注意が必要です。

まとめ

国によって違いもありますが、海外法人を立ち上げること自体は私たちが考えているよりも簡単です。しかし、設立する州や起業形態など難しい選択を迫られることも多いため、海外法人を立ち上げる場合には、現地の専門家や海外進出のコーディネーターなどのプロに依頼することも一つの方法です。事業を円滑に進めるためにも専門家のサポートを活用しましょう。

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