日本企業にとって海外進出は、製造分野でも販売サービス等でも魅力的な挑戦です。しかし失敗しないために十分な現地調査が必要となります。

海外進出における現地調査の必要性

海外進出を考えている企業では、海外マーケットの攻略や海外の安価な労働力の獲得などによる利益拡大を目指しています。近年では人件費の高騰する地域も増えてきましたが、今後も日本製品人気、新興国の購買意欲・マーケットの拡大によって海外を目指す企業は後を絶たないでしょう。

そんな大きなメリットを持つ海外進出ですが、同時に大きなリスクもあります。国内と同じイメージで海外進出を目指しても、思わぬところでとん挫をする可能性があります。

そのため、海外進出では事前の調査による情報収集が重要になります。調査には国内にいながらできる予備調査と実際に進出する国や地域に出向いて行う現地調査があります。

とくに現地調査では、国内にいてはわからないリアルな情報を得ることができ、信ぴょう性の高いデータを集められます。現地の専門家に話しを聞いたり、現地調査を外部に委託したり、インターネットで調べるだけでは誤った情報や古い情報を信じてしまう恐れもあります。

そのため海外での事業展開を考えているのであれば、必ず実際に担当者や責任者がその国・地域に赴き、現地調査をすることが必要です。

現地調査で治安や情勢を知る

海外進出を果たすために大切なことの1つに安全性を知ることがあります。海外の各国は、日本とは違った社会情勢下にあり、ビジネスを展開したり、派遣されたスタッフが安全に暮らしたりするのに適していないことも多いものです。

そのため、海外進出先として選んだ地域が安全であるかどうか、確認することが大切になります。予備調査として、インターネットの利用や現地法人や現地の調査員に情報提供を依頼することもそれなりに効果はあるでしょう。

しかし正しい情報が伝えられていない場合もありますし、文章や写真からは伝わりにくい情報もあります。また日本企業招致とパートナーシップ構築のためによいことだけを伝えることもあるかも知れません。

こうした面を鑑みると、実態の最終確認は、直接現地に赴いて行う必要があります。実際に事前の調査では安全だと言われていたにもかかわらず、治安が悪かったり反日感情が高まっていたりといったこともあるようです。

また情勢の変わりやすい地域や国では、情報の鮮度も重要となるため、最新情報を確認するためには、現地を訪れることが必要です。

現地調査で労働者の質や考えを知る


現地調査では、海外進出の肝ともいえる人材の質を知ることも重要です。海外進出において労務管理は難しく、その原因の1つに国民の労働に対する向き合い方の違いが考えられます。

現地で労働力を賄うことで人件費を削減しようと考えている場合には、とくに安易な海外進出はリスクがあります。海外では、日本人のようなまじめさや緻密さが労働者にないこともあります。また時間に対しても日本人のような正確さや厳格さがないこともあります。

その他にも、生産性重視で品質は低かったり、長時間労働は受け入れられなかったりといったことも考えられます。これらは聞いて頭では知っていても、現地で体感しないと、どれほどのことかわからないことです。

こうした違いは、よい悪いということではなく、国民性の違いととらえることが大切です。許容範囲であれば、今後の労務管理や教育なども含めて検討を進めていきます。

必要な質や量などを担保できない場合には、事業の失敗にもつながる恐れがあるため計画の見直しが必要です。違う文化や感性を持った現地の人が、日本の労働文化になじむのは難しく、海外進出の大きな負担となるでしょう。

現地調査でパートナーや取引先を見る

海外進出では、現地で販売や仕入れなどでかかわりを持つパートナー企業や取引先を獲得することも大切です。円滑なビジネスを開始するには、信頼のできるパートナーや仕入れ先等を見つけなければいけません。

ところが海外では、パートナー企業に騙されたり、思うような関係を築けなかったりすることがあります。

海外進出のための現地調査では、パートナー候補と対面で話し合う機会を設け、相手の工場や施設へ出向き、実際の工程を見るなどし、信頼できるかどうかの判断も行います。販売ではあらかじめ流通形態についてリサーチをしておき、現地で確認することも大切です。

現地調査では予備調査とのズレを見抜く

海外進出を行う際には、まず事前の予備調査を行い、計画が煮詰まってくるとともに現地調査も進めていきます。現地調査では、現地に行かなければ見えない部分を重点的にチェックして、予備調査で出た結果や情報との誤差を見極めることが大切です。

予備調査との違いがあった場合には、調査内容に反映させ、それが事業計画に大きな影響を及ぼすなら、計画の練り直しをすることも必要となります。

まとめ

以上のように、事前調査の確認という意味で、現地に実際に赴くことは大変重要になります。労働人口やGDPなど数値で見える情報であれば、大きな誤差は起こりにくいはずですが、数値だけでは測れない人的な部分や社会情勢、労働環境などは、現地調査で実際に見ないとわからないことは多いものです。

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